ウォール街のランダムウォーカーを数回に分けて要約していきます。投資している方なら一度は見聞きしたことあるのではないでしょうか。個人投資家のバイブル本と言われる有名な書籍ですが、400ページを超える超大作なので、この記事で概要をざっと解説していきます。
自分の学びを深めるため、という目的で記事を書いていますが、ぜひ最後までお読み取りいただければと思います。内容のネタバレをしますので、ご注意くださいませ!
こちらの書籍、“ウォール街のランダム・ウォーカー”は、第12版が最新です。始めて出版されたのは1973年で、それからどんどん改訂を重ねているので直近の理論が反映され、かつ長年培われてきた「不滅の心理」が学べる良書でございますね。
著者のバートン・マルキールさんは、プリンストン大学の教授をされている方で、バンガード社の社外取締役、大統領経済諮問委員会の委員も過去に担当された経歴の方です。
ぜひご興味あるかたは本書をお手にとっていただければと思います。
[第1部]株式と価値
第1部では、株式投資の二大流派の説明と、バブルの歴史が紹介されています。
株式投資の二大流派
二大流派とは、「砂上の楼閣学派」と「ファンダメンタル学派」があります。
◆砂上の楼閣学派
砂上の楼閣学派とは、チャートを使ってをテクニカル分析などをする人たちのことです。
株式は「美人投票理論」に例えることができます。イギリスの新聞の企画で「美人を投票して当たれば賞金が貰える」というコラムが昔あったそうです。賞金を示したことによって、自分はこの人が好き、でもみんなはこの人が好きだろうな…と、このように周囲が投票しそうな人を選び合う心理戦のようなゲームになってしまったとのこと。
このように心理戦を重視する人々のことを砂上の楼閣学派といい、チャートの法則性を見出して未来の株価の動きを予測するテクニカル分析をする投資家のことをいっています。言い換えると、株価とは人の心理によって上げ下げするという考え方です。
◆ファンダメンタル学派
一方のファンダメンタル学派ですが、株価の本質的価値は決まっているという考え方です。将来の株価と異なり、現在の株価は数値化、分析できるんだという理論、この理論は、伝説的成果を長期間上げ続けたウォーレン・バフェット氏や、証券分析の父と称されるベンジャミン・グレアム氏も説いている理論です。
その株価の本質的価値が決まっていて、一時的に上下にぶれているだけ、長い目で見れば本質的価値に収斂していくという考え方です。
このように、この二つの流派は相容れない関係にあるといえます。
バブルの歴史
「砂上の楼閣」のように、人の心理戦は、通常では考えられないようなとんでもない価格を作っては崩壊するという歴史が繰り返されてきました。株の歴史=バブル崩壊の歴史ともいえます。ここでは代表的な世界のバブルの事例を紹介されています。
◆17世紀:チューリップバブル(オランダ)
珍しい色や模様のあるチューリップは「貴重なものだ」と言われ始め、どんどん値段があがっていったそうです。すると、球根を安く仕入れて高値で売って儲ける人たちが現れ始めます。たかが球根でしょ?と冷静な目で見ていた人たちも、簡単に儲かるのならとそれに便乗していったそうです。チューリップの球根はその後も投機対象として取引が繰り返され、どんどん値段が上がり続け、最終的にはとんでもない価格になった末、結果暴落したという話です。
◆18世紀:南海会社バブル(イギリス)
当時、貿易が絶対に儲かると言われていた。もはや妄想であるが、無知な人たちによって、株価が爆上がりしてその後崩壊するという。
◆1960年代:トロニクスバブル(アメリカ)
「エレクトロニクス」のような、●●トロニクスといった会社名であるだけで、株価が上がったという。そのくらい当時の電子関係の会社がブームとなっていたとのこと。当然これも一時的なブームでした。
◆1990年代:不動産バブル(日本)
日本の地価がアメリカ全体の5倍の価格が付いた時期がありました。今思えば信じられない話ですがPER60倍という相当割高な株価であったにも関わらず「日本は例外だ」と言われていた。
(補足)PERとは…?
株価と収益の関係性を表した指標です。(一概に言えませんが)数値が少ない方が割安で良いという事です。株価÷1株当り利益で求める。
2000年代に入っても、インターネットバブル、仮想通貨バブルが起こっていますね。このように、どの国でもバブルは起こりうる、何度もバブルは繰り返されてきたというのがポイントであり、歴史から学べるということです。あらゆるバブルの根幹には、こんな共通する考えがあります。自分より気付くのが遅い人がいる、または自分よりも愚か者がいる。そんな人に高値で売れば儲かるという考え方です。バブルの最中はこの考え方は合理的だと思われがちです。でもそれはエスカレートしていき、いつか途切れる。この現象は、群集心理現象として見ない限り説明がつかないのです。
残念なことですが、どのタイミングで参入した人であっても、大きな含み益になった人でさえも、バブル崩壊時に無傷で切り抜けることができる人は、ほとんどいないという事です。なぜかと言うと、含み益がある人は、どうしても勿体ないと思って、売り抜ける人は少ないという事です!
[第2部]プロの投資家の成績表
上記でご紹介した二大流派のお手並み拝見とのことです。第二部では、二大流派の概要とその弱点について説明されています。学者vsチャーティストの理論合戦がとても面白く、私自身、一番の学びになるパートでした。
テクニカル分析に対して
まず砂上の楼閣学派です。チャートを分析し将来の株価がどう動くかを予測するテクニカル分析でが、本書はかなり否定的な書き方をしています。ここで出てくるのがランダムウォーク理論、株価の値動きにおける「予測の不確実性」を説明する理論です。私がこの記事を書いている現在(2022年・春)、コロナで世界中が大混乱していたり、戦争が始まったり、予想もしていなかった出来事が次々に起こります。つまり、将来のことが誰にも分からないという考え方です。
◆おサルのダーツ投げ(笑)
学者たちが様々なテクニカル分析を統計上分析した結果、学問的には効果がない言っています。学者の中には「おサルが目隠ししてダーツを投げた結果と変わらない。この手の話をするとチャーティストは猛反発するだろう」という言葉があるそうです。それを示すようにこんな逸話があります。サイコロを転がして適当にジグザグにチャートを作って、チャーティストへ分析するよう依頼したところ、あれやこれやと株価の分析結果を話してくれたそうです。後になって、サイコロで作ったデタラメなチャートだと明かしたら顔を真っ赤にして怒ったとのこと。
砂上の楼閣派が正しければ世の中はお金持ちばかりになりますが、そうはなっていません。しかし成果を上げ財を成しているチャーティストがいることも事実です。学者の理論とチャーティストの理論、どちらが正しいかはまだまだ議論の余地がありそう。
ファンダメンタルズ分析に対して
続いてファンダメンタル派です。株価の本質的価値は決まっているという考え方だと前述しましたが、このファンダメンタルズ分析も、必ずしも当たるとは限らないと書かれています。
◆ファンダメンタルズ分析の難しさ
株価の本質的価値の出し方としては、将来のキャッシュフローを現在割引計算して計算した金額が、会社の企業価値となるという考えます。営業利益率や、期待成長率、金利水準によっても株価は上下するという考え方です。この分析では、基本的には数字を使ってマクロに分析していきますが、この参考情報が正しいとは限らない、ということです。会計の操作がされる可能性がしばしばあるあって、仮に分析手法が完璧でも、そもそもその分析の材料とする情報が正確でなければ分析結果にもズレが生じます。その他、ファンダメンタルズ分析というのは、かなり多くの変数の上に成り立つものなのでそもそもが難しいとのことです。
◆業界の不都合な真実
証券分析手法のプロ達が集まる業界にまつわる不都合な真実があります。それは「アクティブ投資信託」は、長期的には「インデックス投資信託」に勝てないということ。チャート分析のプロ達が選んでいる銘柄を集めたアクティブ投信のほとんどが、なぜ市場平均であるインデックス投信に勝てないのか?がこの言葉“業界の不都合な真実”に集約されるんだと思います。
アクティブとインデックスの違いについては下記で簡単にまとめています。
- アクティブ投資信託:
証券分析のプロが選んだ投資銘柄。市場平均値を超えるリターンを目指すが、多くの場合は目標を超えられない。ただし、一部の優良銘柄を選べば大きな成果を得られる。プロが関与する分手数料が高いことが多い。- インデックス投資信託:
市場平均値の連動を目指す投資銘柄。リターンとしては多すぎず、少なすぎず、でもほぼ確実にリターンを得られるとされる投資手法です。手数料は割安。
———-
途中ですが、解説はここで一度区切りたいと思います~~^^;
最後までお読み取りいただきありがとうございました。まだ本書を半分程度しか記事に出来ていませんが、引き続き執筆していきますので、次回もご覧いただければ幸いです!!

コメント