お仕事で圧倒的に成果をあげるチーム作りというテーマで書かれた書籍「心理的安全性のつくりかた」がとても私自身参考になったので、今回記事にしてご紹介しようと思います。
がっつり内容のネタバレをしますので、ご注意くださいませ^^
この本では、心理的安全性が乏しい職場は、挑戦することがリスクと感じ、結果、仕事で成果が出せなくなる、と書かれています。健全に意見の言い合える、いわゆる「良い職場環境」に整えるポイントが具体的に書かれており、結果をガンガン出すチーム作りが学べます。ぜひご興味あるかたは本書をお手にとっていただければと思います。
心理的安全性という概念
意見や質問、指摘が言えますか?
皆さんは職場で上司や先輩、複数名参加するミーティングや会議のなかで、下記のような素朴な意見や質問、違和感の指南が言えますか?
- 例)それっておかしくないですか?
- 例)私はこうした方が良いと思います!
- 例)わからないので教えてもらえますか?
文字だけ見てみると当たり前に聞こえるこの言葉、日本人は、これを言うのはとても難しいらしい・・・
新人さんだった頃を思い出しませんか?あの時に言えなかった違和感が正しかったと後で気付く経験はだれにでもあると思います。率直な意見を言い合える「心理的安全」な状況を整備する事が、仕事をする上で非常に重要であると本書には書かれています。
Googleにより知れ渡った心理的安全性
Google社の調査分析班が4年の歳月をかけ分析した結果、面白いことが分かったそうです。
効果的なチームとは、誰がチームのメンバーであるか、でなない。効果的なチームとは、チームがどのように協力し合っているか。と定義しています。
さまざまな協力の仕方がある中、圧倒的に重要なのがこの心理的安全性であり、そういった職場は「離職率が低く、収益性が高い」と結論付けられています。
本書「心理的安全性のつくりかた」3つのポイント
この本は大きく分けて3つのパートに構成されています。
- 4種類ある職場の特徴
- 心理的安全性を満たす4要素
- 行動を変えるフレームワーク
職場の特徴というパートでは「ぬるい職場」「寒い職場」「キツイ職場」「学習する職場」の4種類に分類されています。二つ目のパートでは、心理的安全性を満たす職場の作り方のポイントを4つに切り分けて紹介されており、それらをフル活用していくためのフレームワーク【きっかけ×行動×見返り】というテクニックが紹介されています。確実に成果をあげる、実行力あるチーム作りが具体的に学べます。
4つの職場の特徴
職場の特徴には、横軸に仕事の基準、縦軸に心理的安全性でプロットすると4種類に分類分けできるとのことです。ぬるい職場、寒い職場、キツイ職場、学習する職場、それぞれの特徴は下記の画像でまとめていますが、職場の中でどのように高い基準を保っているかがポイントとなってきます。
ぬるい職場の特徴
仕事の基準は低いが、心理的安全性は高い
それほど高いクオリティを求められない役割、仕事内容で、期限も決まっていない、或いは曖昧な職場です。そういった職場は、仲間同士、上司部下も基本的には仲良しであり居心地は良いのですが、その反面、成長できない職場でもあります。仕事そのものからも充実得られないため、仕事から達成感を求める人、出世意欲のある人は転職してしまうかも?
寒い職場の特徴
仕事の基準は低く、心理的安全性も低い
心理的に安全な雰囲気でないことから、行動してもしミスや失敗してしまったら、罰があるかも?と感じてしまう職場です。ただし、そもそも高い基準、高い成果を求められていないため、わざわざそのリスクを冒してまでお仕事をしようとしない、実行に移さないタイプの職場です。そういった職場は、自分の身を守ることを優先したり、お互いに無関心で余計なことをしない働き方になりがちとのことです。
キツイ職場の特徴
仕事の基準は高いが、心理的安全性は低い
とにかく結果重視、高いノルマを課せられていて、常日頃から不安と罰によって支配されている職場です。もちろん結果が全てなので本人の意思は尊重されにくいです。キツ過ぎるゆえに、仲間であっても助けあることはなく、逆に相手を手伝うことで相手の成績があがり自分が損するのでは?と考えてしまうタイプの職場です。そういった職場は当然、周囲や上司からの協力を得られず、結果を出しても尊重されないケースが多いです。
学習する職場の特徴
仕事の基準は高く、心理的安全性も高い
自ら率先して高いクオリティを求め、一生懸命がんばる人が集まる傾向のある職場です。お互いに認め合い、それぞれに成長し合う挑戦意欲あるので、当然仲間同士の居心地は良く、高い基準を保てる環境にあります。そういった環境には自然と成果に向けて鼓舞し合ったり心理的安全な状態を作り出す4つの要素「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」が伴っているのです。。
このように、4種類の職場の特徴を説明しましたが、ポイントはどのように高い基準を保っているかということです。
心理的安全な4要素
高い成果を生み出すチームの特徴として「学習する職場」が良いと前述いたしました。学習する職場を作るためには、心理的安全性を高めるための4つ要素を満たすことが重要です。ここからはその4つの要素を解説していきます。
話しやすさ
話しやすい、聞きやすい環境であるかどうか、という心理的安全性の要素の土台となる部分。仮に、反対意見であっても仲間の意見を聞きたい。相手に過不足あれば教えてあげたい。といった心理が働くので、結果としてアイデアも募りやすい。仕事における報告時などであれば、ネガティブな結果も、隠し事なく、事実は事実として全て報告、連絡、相談があるため進捗を把握しやすいのが特徴です。
助け合い
問題が起きたとき、誰かを責めるのでなく、建設的に解決策を考える雰囲気があるということです。自分の弱さを見せ合うような、自己開示し合える人間関係が特徴であり、トラブルや、行き詰まった時、チーム内で課題解決するために連携を組み直したり、優先順位を変更したりと臨機応変に問題解決できるということです。
挑戦
時代の変化に合わせて、新しいことを模索し変えるべきところを柔軟に対応していくチームのことです。チーム自体に活気があり、チャレンジすることが「損」でなく「得」だと考える。前例や実績がないことも取り入れようとするので、挑戦しないチームと比較して、イノベーションが生み出されやすいのが特徴です。
新奇歓迎
一人ひとりが才能を輝かせ、多様な観点からその個人にフォーカスして受け入れることのできチームです。メンバー内で、自分だけが目立つこともリスクだと思わない雰囲気があり、個性を人前で表現したり、強みを活かして成果を出すことを歓迎されていると感じられるチームのことです。
4要素を意識して自分自身が変わる
これら、4つ要素を高めることでチームに心理的安全性をもたらし、「学習する職場」を作ることができる訳ですが、そのためにはまずは「自分が変わる」必要があります。ここが大前提です。上司、先輩が変えてくれると期待していても、何も変わりません。組織やチームに心理的安全性をもたらすのは自分だという気概を持つことが何よりも大事だということ。この考え方を一人ひとりがしっかり理解することがとても重要なのです。
チームの行動を変えるフレームワーク
ここからは、心理的安全性の高いチームの解説に加えて、組織やチームの行動を効果的に変えるフレームワークのご紹介です。その名も「きっかけ・行動・見返り」フレームワークです。
「きっかけ・行動・見返り」の概要
このフレームワークの押さえるべきPOINTは下記の3点です。
- 全ての行動には、きっかけがある
- 行動の先には何かしらの見返りがある
- この見返りが、次回の行動に影響を与える
この「きっかけ」「行動」「見返り」の3点をしっかり押さえることが重要です。
行動が起きにくい場合は、きっかけ作りが足りていないのではないか?行動が定着しない場合は、良い見返りを与えることができていないのでは?
こんな観点で、「行動」が挟まれている前後、「きっかけ」や「見返り」が正しく機能しているかを見直すことで、組織やチームの行動を効果的に変えるためことができるのです。
「見返り」が機能していない具体例
次回の行動に悪い影響を与えてしまっている具体例が本書で書かれていたのでご紹介します。
お部屋が寒いとします。この寒いと思う感覚が「きっかけ」です。エアコンの温度を上げるためリモコンのボタンを押しました。これが「行動」ですね。この行動の後にお部屋が暖かくなれば、それは良い「見返り」があったということです。良い見返りがあると知っているため、次回も寒ければリモコンのボタンを押すという行動をとる、つまり良い見返り=次回も同じ行動をとる確率が上がるということです。
もし、case2のように、ボタンを押してもお部屋が寒いまま、つまり見返りがないのであれば、もう二度とそのリモコンのボタンって押さないですよね。或いは服を羽織るなどの別の行動を取るかも知れません。よい見返りがないと、次回同じ行動をとる確率は下がるということです。
行動とは、「きっかけ」と「見返り」に制御されているといえます。どのような状況下でその人が「行動」するのか、どのような見返りがあると、次回の行動が促進されるのかを振り返り、考え続けることがリーダーとしてとても重要なことであります。心理的安全性を担保した職場環境に加え、「きっかけ」と「見返り」のアプローチを変えることでチームや組織の行動が促進されるということを本書から学びました。
まとめ(本書から学んだこと)
◆率直に意見をし、質問もできるチーム
心理的安全性が高いチームは成果が出やすいということ。そして、誰かが変えてくれるのを待つのでなく、「変わるのは自分からだ」の意識を持つこと。
◆どのように高い基準を保っているか
キツイ職場にありがちな罪・不安を取り除き、人々を成果に向け鼓舞し成長する職場にする4要素を取り入る。4要素とは、話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎である。
◆行動を起こしやすくするフレームワーク
きっかけ×行動×見返りのフレームワークを活用して、きっかけ作りと、見返りを意識し続ける。
本書では、様々なケーススタディを交えた解説がページの後半部分でしっかり解説されているので、ご興味ある方はぜひお手に取ってみてください。
以上です。ありがとうございました。
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